梅祭り前の静けさ 百草園を歩くⅡ
2月に入ると「梅まつり」が始まる百草園。12月から咲き始める”八重寒紅”から3月に楽しめる遅咲きの”淋子梅”まで、ここには約80種800本の紅梅、白梅があるという。
梅まつりは2月から3月に行われ、樹齢300年といわれる”寿昌梅”と茅葺屋根の織りなす風景は訪れる人々を和ませてくれる。
蝋梅とスイセン、寒咲きアヤメ、早咲きの梅がひっそりと咲いている百草園を歩いてみる。庭園の真ん中にある松連庵(しょうれんあん)がより一層情緒を醸しだしてくれる。
松連庵は天平の昔に栄えたという松連寺の跡に佇んでいる。周りを梅の老木で囲まれた自然の中に優しく溶け込む茅葺屋根、懐かしい日本の風景がそこにはある。
松連庵と梅
入り口には、"蓬そば"ののれんがかかり早咲きの紅梅が枝をたれ、思わずのれんをくぐってしまう。シンプルなメニューにそばは二種類しかない、山菜そばを注文、座敷に上がる。
松連庵 濡れ縁から
部屋は誰もいなく貸切状態、ゆっくりと防寒着を脱ぎストーブで暖められた畳の上で大の字になって腰を伸ばし背伸びをする。雪見障子から見る庭園はちらほら見える散策者だけで静寂そのものである。
やがて、温かいそばが運ばれ薬味と少々の唐辛子をかけて割り箸でそばをすする。蓬と山菜のつるつる感が口に合う。外が寒いだけに温かいそばはいちだんと美味しく感じる。やはり、そばは雰囲気も味のうちであると思う。
外に出て池の周りを歩くと、ここにも蝋梅の香りとスイセンの群生がきれいである。山道の散策路を登ると新宿方面が一望できる展望台がある。大きなシダジイの木の下にベンチとイスがありゆっくりと眺めることができる。
蝋梅
雪見障子越しの静寂
良く見ると、眼下に見える藁葺きの向こうに遠くかすんで見えるのは、今話題の東京スカイツリー、新宿の高層ビル群、都庁の建物の左のほうに500mになった東京スカイツリーが見える。
新宿高層ビルと東京スカイツリー
昭和33年に完成した東京タワーは333m、当時の世界一のタワーはフランスのエッフェル塔で320mとか、今度の東京スカイツリーは634mで完成すると世界一になる。当時は日の出の勢いの日本、どうせ作るなら世界一のタワーをと元気であった。今の元気印は中国、世界一のタワーができる頃には日本ももう少し元気になっていて欲しいと思いながら、梅まつり前の静かな百草園を楽しんだ。
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