田沢湖 クニマスのふるさと
田沢湖は日本のバイカル湖ともいわれる日本一の深さを誇る湖である。最大深度は423.4mで湖面の標高は249mであるため、最深部の湖底は海面下174.4mということになる。
この深さゆえに、真冬でも湖面が凍りつくこともなく、深い湖水に差し込んだ太陽の光は水深に応じて湖水を明るい翡翠色から濃い藍色にまで彩るといわれている。
今日の田沢湖はあいにくの空模様で、その濃い藍色とは言えないが、湖面を覗くと澄んだ水にたくさんの魚たちが泳いでいる姿が見える。
御座石神社鳥居
その昔、発電所の建設と農業振興のために玉川温泉水系の酸性の強い水を導入したために、田沢湖は急速に酸性化して酸性に強いウグイ以外の魚類はほとんど死滅したといわれている。
たつこ像
その死滅した魚類の中に田沢湖の固有種であったクニマスが含まれていたということである。最近では山梨県の西湖でクニマスの生存が確認されて、あのさかなくんの「クニマスの再発見」というニュースにもなった。
「御座石の七色木」と「雨乞い石」
田沢湖は、周囲20kmのほぼ円形の湖で、車で30分もあれば軽くひとまわりできる。西岸にはたつこ姫の像がたたずみ、田沢湖のシンボル的存在になっている。
瑠璃色の湖面にたたずむたつこ像には、田沢湖の水をがぶ飲みして龍の身体になった辰子と八郎がやがて巡り合って夫婦になったという伝説がある。
辰子伝説には、日本一深い湖と水の無くなってしまった八郎潟とクニマスの話が出てくる。久しぶりに訪れた田沢湖畔でその物語を思い出しながら、神秘的な雰囲気をたたえる湖面の表情を見ながら、遠くかすむ山々にひと時の安らぎを感じているところである。
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