ハヤブサ Ⅱ 親の想い
「子をもって初めて分かる親の恩」などと言われるが、それほど子育ての親の想いが子供に分かるのは時間がかかるものである。
最近スポーツなどでも若い世代が世界レベルで活躍している我が国であるが、それを見ても、幼児期から親がその道に仕向けてくれて、育った若者が頭角を現しているのである。
仰ぎ見る高い絶壁で、巣立ってから必死に一人立ちしようとしているハヤブサの雛、なかなか思うようにいかないというか、期待通り飛んでくれない。
朝食用に獲物を持ってきたオスは、崖の上の樹木の横枝でそれをメスに渡すと、メスは羽をむしって食べやすくする。
思うように飛び出さない雛を見ている親鳥は、朝食の獲物を持って行って食べさせてやりたいところだが、それを取りに来るように促している。
獲物を調理するメスは内臓を取り出して、おいしいところだけを雛が食べやすくする。因みに鳥は、空を飛ぶので体を軽くするために、人間と違って最小限の内臓しかないらしい。
調理が終わるとこんどはそれを掴んで飛び出して、雛の周りを飛び回る。「餌がほしかったら飛び出してこい」と言ってるのかどうか?
それにしても長い間、餌を両脚で掴んで飛び回っている。観客としては、本来空中でのメスへの餌渡しを期待していたのだが、それはなく、雛へのデモンストレーションのようである。
親の想いはなかなか伝わらず、岩棚の雛は羽をばたつかせるだけである。早朝の陽陰の岩から陽が差し込む時間まで待ったが、見ている方も時間切れとなって、撤収を余儀なくされた絶壁のハヤブサ巣立ち風景であった。
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