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暖冬のせいか、早咲きの河津桜にも黄緑色の若葉が出始めてきた。雨上がりの公園を歩くと、その桜の花に鳥たちが群がっている。
一番賑やかで威張っているのはヒヨドリである。その間隙を見計らって入ってくるのはメジロである。
メジロも群れできたときは、おお威張りで花に取り付いているが、数羽で来るとヒヨドリが威嚇に来る。
こんなにたくさんの花があるんだから、欲張らなくても良さそうなものにと思ってしまう。
メジロも花から花へと忙しく動き回る。その行動が早いのでカメラで追いかけるのがたいへんである。
ピンクのきれいな満開の桜の花を背景に、いわゆるウグイス色のメジロはよく似合う。
あいにくの雨上がりの曇り空であったが、満開の桜の花が公園の中を明るくしてくれたように感じる早朝である。
今の時期のモズはそろそろ良き伴侶を見つけて、河原の小枝でラブラブのところを見せつけることが多い。
ところが庭先に来たモズはそんな気配を見せず、相手が見つからないのか、雪を背景にした蝋梅を楽しんでいる。
最初は何もない枯れ枝に来たが、縄張りにしているヒヨドリもいなくなると、目の前の黄色の花の蝋梅に移る。
梅の花の前に咲き出す良い香りのする蝋梅の枝にとまると、その香りを満喫しているようにして動かない。
欲を言えば、もう少し花の近くにとまってくれると嬉しいのだが、そううまくはいかない。
この場所でも長くじっと待っていれば、モズ以外でもいろいろな鳥がやってきてくれるだろうが、そうもいかないのである。蝋梅綬帯百舌鳥図というところか?
世の中の移り変わりの中で、結婚の形態も変わってきて、主流がお見合い結婚から恋愛結婚へと変遷があったが、いずれも男性主導の時代であったような気がする。
ところが、最近はその辺の様子も変わってきたようである。早朝の池では盛んにメスを口説いているオスの健気な姿がある。
されるがままにしているが、簡単には身を崩さないメスに、盛んに言い寄っては気を引こうとしている。
春も近くなり、越冬地で良き伴侶を見つけて北へ帰る準備をしなければならないので、オスにも焦りが見える。
一方のメスも簡単には受け入れない。よく見ていると、心は許しているが、焦るオスをじらしている雰囲気も見受けられる。
それでも最後には、熱きオスのラブコールを受け入れたようである。仲良く並んで泳ぐ池の水面である。
めでたしめでたしの早朝であるが、最後に「盗み撮りはだめだよ」と言っているようなまなざしを向けられてしまった。。
結婚式などの祝辞で「オシドリ夫婦」というお祝いの言葉で、仲の良いたとえにオシドリのペアーはよく引き合いに出される。
波のない静かな早朝の池の水面を見ると、その泳ぐ姿は夫唱婦随を思わせるまさに仲のよいペアーである。
ある時はオスが前を行くと、それに静かに寄り添うようについていくメスの清楚な姿が見える。
また、メスが優雅に先を泳いでいるときは、それを温かく見守って静かについてゆくオスがいる。
目の前には理想の夫婦像が映っているが、オシドリの生態から言うと、オスは毎年新しいメスと営巣をすると言われている。
そんなことはさておいて、オシドリのペアーを理想の夫婦像にしておきたいものである。「〇〇と畳は新しい方が良い」といういわれもある日本であるが?
夜行性のオシドリ達は日が昇ってくると、池の芦原の中に入ってお休み状態になってしまうので、日の出前に池の岸辺で待つ。
街路灯のついているころの早朝の水面はまだ暗いので、高感度撮影を試みるが、なかなかきれいなオシドリの色が出ない。
暗い池で水しぶきをあげながら遊ぶオシドリ達、かなりの数のオシドリ達がいるように感じる。そんな中でもペアーの相手を探してメスに言い寄っているオスたちがいる。
それを邪魔するかのように別のオスが、飛び込んでくる。夜明け前のにぎやかな池である。
東の空にある雲が茜色に輝き始めると、池の水面が良く見えてくるが、50羽ほどのオシドリの姿は、それぞれ岸辺の藪の中に隠れて半減してしまう。
それでも明るくなってきたので、あのオシドリのオスのきれいな衣装が映えてきた、池の岸辺の観察風景である。
コハクチョウのねぐらを覗いていると、空が明るくなるにつれて行動が活発になってくる。群れもいいが目の前には、「朝だぞーと」声をかけている単独の当番の白鳥がいる。
そろそろ、近くの田んぼに朝食に出かける準備をし始めている群れがいる。一斉の飛び出しもみたいものであるが、単独のコハクチョウにスポットを当ててみる。
中にはちょっと気取って「私ってどう?」という雰囲気で、バックシャンでデモンストレーションをしている個体がいる。
じっと見ていると、カメラを意識したのか思わせぶりな行動をしているが、それもなかなか魅力的である。
「水上のスワン」というところか、「♪ 白鳥の湖 ♬」でも見せてくれるのかなと期待してしまう。
一羽に気を取られていると、最初の群れが雪山を背景に飛び立っていった。これも見事な飛翔であるが、採餌場の田んぼでは泥んこになって餌探しをしているんだなと、現実視をしてしまう。
今シーズンあまり縁のないジョウビタキのオス、いつも河原に行ってもメスは愛想よく出てきてくれるのだが、オスにはなかなか遭えてない。
ところが雪景色を眺めながらこんなところにジョウビタキが来てくれたらなと、思って周りを見渡してみると、なんと目の前にいるではないか。
ジョウビタキも突然の雪に戸惑っているのか、それを楽しんでいるのか、雪のある枝から枝へと飛び回る。結構楽しんでいる雰囲気である。
背景が白いので、ジョウビタキのオスのその衣装はよく映える。得意の頭を下げて尾羽を振る動作を何度もして見せる。
飛び出して姿が見えなくなったと思ったら、しばらくするとまた戻ってきて元の枝にとまっている。この場所が気に入っているようである。
このあたりを縄張りにしているのか、ヒヨドリとモズなどもやってくるが、その間隙を縫って姿をみせる。珍しい出会いの雪のジョウビタキで、うれしさもひとしおである。。
塒を飛び立って餌場の田んぼに向かう前にその姿を見たいと思って、塒としている池に向かった。
あいにくの昨夜からの雪で、すっかり雪国状態になっているが、春の雪ははかないので、この景色も三日は持たないだろうか。
明日になって陽が当たればこの雪はすっかり溶けてしまう。そんなはかない雪景色を狙って、元気を出しているカメラマンである。
雪で煙る池の水面には、頭を体の中に隠して眠っているコハクチョウたちがたくさんいるが、その姿はあまり絵にならない。コガモたちは動き回っているのに、コハクチョウは朝が遅いのか?
何か大きな音がしたり、ほかの鳥たちが動き出すと、おもむろに頭を持ち上げて周りを見渡すだけである。そしてまだ早いかなという顔で再び眠りの態勢に入る。
それでも時間的には行動を始める時間なので、動き出した群れも出始めている。あまりきれいな声ではないが、起き掛けの鳴き声も聞こえる。
幼鳥たちの姿も見えるコハクチョウの家族は、雪を背景にゆっくりと水面をすべるように移動を始めた。条件が悪いのでピントがいまいちなのが残念である。と腕の悪さを他人事のようにつぶやいている。
春がそこまで来ているというのに、朝から雪が降る一日が始まる。その雪もかなり重い雪に見える。
雪が降ると喜ぶのは犬と子供であったが、最近はその犬や子供の姿もあまり見なくなった。座敷犬が多くなり、ゲームに没頭する子供が増えたのである。
昔子供だった頃は、雪が降るとその新しい雪に最初の足跡をつけるのが楽しみで、早起きをするのであった。雪の降る日は静かな夜明けなのである。
ところが、年を重ねて経年劣化の激しい昔の子供は、ガラス越しに雪を見ても出かけるのを躊躇している。
にぶい決断力でも雪景色の鳥たちを撮りたくて、背中に貼るカイロを二枚もつけて出かけてゆくのである。
コハクチョウがねぐらにしている雪の降る池には、コガモやオカヨシガモ、ヨシガモなども飛来している。コガモの群れではアメリカを探し。
それが見つからないと、ヨシガモの尾羽と頭のメタリックな緑色を探す。それを見つけると、双眼鏡で観察し続ける老体である。
波立つ水面から飛び立って、雪景色の山を背に向かってくるその足元には何も見えない。大漁を期待したのに失敗だったようである。
今回はそのまま山に戻るつもりか、その表情には元気がない。大きい波があったので、魚は難しかったかもしれないが、そこはプロだろうと言ってやりたい。
でも今日の午前中は何も食べてないので、おなかがすくだろうから午後の漁の確率が高まる。ところがそこまでお付き合いできない事情があるので残念である。
いつもは大きなフナやブラックバスなどをつかんで意気揚々と帰ってくるが、この波ではそれもできなかったのだろう。
魚がダメなときは、オオバンなどの水鳥を持って帰ってくるが、午後からはそれが期待できるかもしれない。
残念ながら大漁旗を翻して戻ってくる姿は見られなかったが、雪や荒波の立つ悪条件の中に果敢に挑戦していく、オオワシの姿を見ることができたことを慰めにしよう。
2月も中旬になると、オオワシの北帰行のスケジュールも秒読みになってくる。昨シーズンは月末あたりに北の国へ向かったようである。
だからこそ大漁の場面をこの目で見たいという思いが募るのである。今シーズン最後のチャンスになるかもしれない。
温暖化の気候のせいで、オオワシの帰るのが早まる可能性もある。北の空の高い上昇気流に乗る飛翔姿も、ここのところ見せることがあるという。
いったん止まった山の中腹の樹木から、飛び出しそうな雰囲気を見せ始めた。飛びだした!そうだ、こちらの方向に飛びだして湖畔を目指している。
かなり沖合まで行ってしまったが、雪のある山を背景に荒れる湖の水面の上空でホバリングを始めた。遠いところでのホバリングである。
そのうちに波立つ水面に向かって飛び込んでいった。波間にその姿は見え隠れするが、水面をけって飛び上がってきた。楽しみは足元の獲物である。
空が明るくなってくると、雪もやんで青空さえ見えてくる。吹き付ける風は冷たいが、枝にあった雪も落ちてしまう。
今朝からまだ食事をしていないオオワシは、必ず飛び出して漁に向かうはずである。そのための程よい風があるので条件は十分そろっている。
飛び出しの場面は小枝がかぶってあまりよくないが、エンゼルポーズの飛び出しの準備も見せてくれるので、期待感が高まる。
ただし見ている方向が、湖の方向ではないのが気になる。山の中腹を雪景色を背景に飛んでくれてもいいかと、待ち時間が長かったせいか簡単に妥協する気持ちがある。
せっかくだから緑の常緑樹に残る雪の前を飛んでくれないかと、思いつつその場面を待つ。
そのうちにやっと飛び出したと思ったら、湖とは逆の南の方向に向かっている。
背景が近いのでそちらにピントを持っていかれそうであるが、何とか頑張って白い雪をバックにした飛翔すがたである。
そのまま旋回して湖畔に向かうのかと思ったら、途中下車で中腹の葉の落ちた樹木にとまって湖を眺めている。
朝は晴れていたのでオオワシに遭いに湖岸へと向かう。外の気温はかなり下がっているように感じる。
湖岸へのトンネルを抜けると、そこは雪国になっていた。かなりの雪が横殴りに吹雪いてくる。
山の中腹の樹木にいるオオワシは雪で見えなくなることもある。それでもじっと待っているオオワシ。
オオワシにとっては雪とか寒さはあまり問題にはならないのだろう。それよりもそれを見ているこちらの方が、まいってしまいそうである。
空を見上げてあきらめて引き上げようかと思うが、周りを見るとそんなそぶりも見せないで、じっと待っているバーダーたちである。負けてはいられない僕。
そのうちに空が明るくなってきて、雲間に薄い日の光が見えるようになってきた。もう少し我慢して待ってみることにした。
今回こそは、大漁旗で戻るオオワシの雄姿を見たいなと、湖畔に足を運んでみた。
早朝を狙って出かけてみたが、すでにその姿はいつもの枯れた樹木の太い横枝にあった。
湖畔の北の方にまなざしを向けているので、飛び出しはそちらの方面かなと期待しながら待つ。
オオワシもたまに動いたりするが、ほとんど視線を動かすだけでじっとしている。
この時間が長いのである。当のオオワシは日常的なことなので、あまり苦にならないだろうが、それを待つ身は気が抜けない。
たまに大きく動くと期待感が高まるが、羽繕いをしたり、頭をかきかきしたりするだけである。
待っている方はそのたびに緊張するが、出番を待たせるヒロインオオワシである。
世の中自分の思うようにいかないのが常であるが、季節の移ろいを感じながら鳥の撮影のイメージを描く。
雪が降る日もあれば、春の陽気の日中にコートを脱いで歩くこともある。過去の経験則では読めない最近の気候である。
公園の梅の花も咲きだしたこの頃、言葉では「梅にウグイス」と言われるが、現実にはかなり難しい。
その代わりといっては失礼だが、梅にメジロがその場面を演出してくれる。だが狙っているのは、梅にルリビタキである。
公園の梅の花があるところには、愛想の良いルリビタキのメスが居ついてくれてるが、欲を言えばブルーのきれいな成鳥のオスを期待している。
そうはうまく行きませんよと、ルリビタキのメスらしき個体が、梅の花どころではない人工物でご挨拶をしてくれた。
でもまだあきらめないぞと、つぶやきながら公園に足を運ぶこのごろである。
冬ばれの河原の土手は雲一つない青空、遠く西の雪化粧の丹沢山系の後ろには、冠雪の富士山の頂が陽の光にまぶしく見えるほどである。
そんな青空を見上げていると、下流の方から鋭い飛翔姿のハイタカがやってきた。
ここにねぐらを構えているいつものハイタカだと思うが、その判定は定かではない。
青い空をバックに気持ちよさそうに旋回してくれるが、だんだんと高く上がっていってしまう。
鳥撮りはそのカメラマンのわがままで、飛翔姿ばかりだとたまには枝どまりもいいなと思ったりする。
そうかと思えば、ごちゃごちゃした枝被りにいると、もう少しすっきりした枝に出てきてほしいとも思う。
なんといっても相手は、空を飛べる翼をもっているので敵わない。それを追うには二本足歩行では到底無理である。それでもハイタカの優雅な飛翔に遭えた河原の土手でのうれしい観察である。
早朝の公園を歩くときは足元をよく見て歩かないと、薄暗い散策路の脇をゆっくり、のんびりと歩くコジュケイの家族がいるかもしれない。
ある日の夜明けが始まるころの公園の入り口付近、デイパックにて背負ってきたカメラをセットして歩き始めると、灌木の下に何か動くものがいる。
よくよく見ると、コジュケイの家族が13羽ほど採餌をしながら歩いている。それにしても餌採りに夢中なのかカメラマンを無視している。
いつもなら人の気配を感じると、さあっと一斉に藪の中に逃げ込んでしまうはずが、我関せず傍若無人の採餌に集中の行動である。
地面に落ちている木の実や虫たちをひたすら啄んでいるものもいるが、上から垂れ下がっている木の実を狙っているものもいる。
上を向いて木の実に狙いを定めると、思い切りジャンプをしてその実をくちばしで咥えてくる。
地面をのんびりと歩く姿は見慣れているが、ジャンプをして木の実を採るコジュケイの行動は初めてである。早起きは三文の徳であった。
漁が下手くそだなと言って後を追ってみたが、再度狙いを水面に定めてじっとしている。時々周りを警戒しながら池を覗いている。
そんなときに上空に鋭い飛翔姿を見せたのは、ハイタカである。カワセミをさておきハイタカの飛翔を追う。
ハイタカは森かげに飛び込んだと思ったけど、すぐに出てきて、青い空をバックに見事な飛翔姿で上空に上がっていってしまった。
さて、カワセミ君はどこかとみてみると、いつの間にか小魚を咥えて、これ見よがしのスタイル。
枯草の中のしっかりした茎にとまって、どうだといわんばかりに見せびらかしている。立派だよ!でも、獲るところを見せて!
ここでは、魚をくちばしでたたいて、弱らせることもできないよ!
咥えられた小魚も最後の抵抗をする。体をくねりながら逃れようとする陽の光に光る銀色の小魚を、何とか飲み込もうとしている姿は、獲った獲物をよく見てよと言っているようである。
しばらくの間見事なホバリングをしていたカワセミは、意を決したのか獲物をめがけて急降下の体制に入った。
そういう時に困るのは、腕がないのでカメラが追い付かないことである。飛び込みの瞬間を狙うなら置きピンで、水面を狙うかどうかである。
それにしてもその突撃体制は見事なもので、ブルーの翼を閉じて長いくちばしから一気に水中をめがけている。
すぐに追いかけたが水中はピントが合わず、ピンボケの量産で、結局水中から飛び出してくるところになってしまう。
きれいな水でそのうえ底が見える池なので、水中で魚を捕獲する場面を捉えてみたかったが、腕がついていかない。
こんなことを続けていくうちに、カメラのスキルも上がっていくのかなと、負け惜しみをつぶやいている。でも頑張るぞ!
今回は狙った獲物は捕れずに、嘴には何も見えない。人のことは言えないが、長いホバリングの割には漁の下手なカワセミ君である。
青い宝石と言われるカワセミ、枯れた草木の中にとまっているとその青さが目立つ。特に今の時期は、羽毛もきれいになっているので見ごたえがある。
河原の水面を低空で飛び回っているが、やってくるときは必ず「チッチッチッチ-ィッ」と鳴きながら飛んでくるのでわかりやすくてうれしい。
この河原の湧水池も以前は小さく、あまりカワセミも姿を見せなかったが、夏の大雨で増水してからはその池がかなり大きくなって、水がきれいになり魚が増えたようである。
魚や鳥たちの餌になるものが増えたせいか、カワセミはもちろんカルガモをはじめとして、カイツブリやカワウなどがたくさん居つくようになった。
池の水面に倒れ掛かった枯草の茎に、そのカワセミがやってきた。池の底が見えるような澄んだ水の中の獲物を探している。
どれにしようかな?
天気が良すぎて水中が見えにくいのか、ホバリングを始めて獲物を探し始めた。かなり長い間ホバリングを見せてくれるカワセミである。
カラスとのバトルを終えて戻ってきたコミミズクは、草むらに下りて一休みというところか。
かなり興奮したと見えて、頭には小耳が立っている。これは実際は耳ではなく羽毛(羽角)でコミミズクの命名はそこからきている。
地上に降りて周りをキョロキョロする姿は、扁平した顔とその表情とともにユーモラスで愛嬌がある。
コミミズクの首は約270度回るので、潜望鏡のように、ほとんど同じ位置で周りを見渡すことができるから便利である。
上空で謝りを入れたカラスも、すでに過去のことのようにコミミズクの後を追いかけてくる。そのしつこさがある意味では大事かもしれない。
「本当に懲りないうるさいやつだな」と思いながら、それを無視して獲物探しに集中するコミミズクである。
カラスのほうも一定の距離を保ちながら近づいてくる。あまりのしつこさに業を煮やしたコミミズクは、夕闇迫るフィールドに、もう一仕事と飛び立っていったのである。
コミミズクが一生懸命獲物を探して飛んでいると、その獲物を横取りしようとカラスがそれを待っている。カラスのほうが悪知恵が働くのだろうか?
実際には本気を出せば、猛禽のくちばしと足の爪には敵わないカラスであるが、飛び出してきたコミミズクにちょっかいをだすのである。
それに怒ったコミミズクは、 悠然とカラスを追いかける。
「おいこら、待て!」
「なにくそ、負けてなるものか」
「俺は怒ってるんだぞ!ところで、どうして同じ翼の形になるんだ?」
「ほんのいたずら心ですから、勘弁してくださいよ!」
「そう簡単に許すわけにはいかないよ!」
「ここは俺の縄張りなんだから、追い出してやる。」
「今度邪魔したら、容赦しないぞ!」あまりの激しさにカラスもすごすごと退散したのである。
広いフィールドをゆっくりと飛び始めたコミミズクは、低空飛行で獲物を探しながら、時々草むらに下りてあたりを見回している。
風が少し強いので、獲物を探すのが大変なのかもしれない。かなり遠いところなので、近くに来てくれないかなと思いながら、待っているが後ろ姿が多くなってしまう。
そんな思いを察してか、期待に応えて正面顔で向かってきてくれる時もあるが、陽をせなかにしているので、顔がはっきりとしない。
獲物を探して飛ぶときは下を向いているようなので、目がはっきりと出てこない。それでも少し近づいてきて、獲物探しのホバリングを見せてくれた。
シャッター速度をあまり落としてなかったので、ホバリングの羽が止まっている。少しはぶれていた方が、ホバリングの臨場感が出たのにと思っている。
何とかネズミでも咥えたところをファインダーに収めてみたいと、膝が震える寒さの中を我慢して狙っているのである。
コミミズクの季節になって、仲間は遠征してその姿をファインダーにきれいに収めている。週末バーダーとしては、その辺がなかなか思うようにいかない。
聞くところによると、意外と近くに来ているよということで、朝から快晴の休日、さっそく午後のコミミズクの飛び出す時刻に、そのフィールドに足を運んでみた。
観察ポイントは限られているので、冬の陽は午後も3時を過ぎると傾き始めて、ちょうど逆光になってしまう。
条件としては、時間の経過とともに西の山に陽が落ちてゆくので、さらに悪くなっていく。最初から腕の悪さを逆光のせいにしているのは、いかがなものかと思う。
西日がまぶしくなるころ、二羽のコミミズクが飛び出してきてくれた。探すのは陽の光に白く光る物体である。かなりの距離があるが、制限された場所からしか狙えないのが、残念である。
それでも何とか我がAFは、その飛翔姿を追いかけてくれた。陽が山に隠れてしまうと、冷たい風が西の山から吹きおろしてくる。老体には限度かと思いながら、せめて獲物をとるところをと、頑張ったのである。
好天に恵まれた休日、久しぶりに河原に出てみた。真っ青な空に雲一つなく、北風は冷たいが太陽の光がそれを少し和らげてくれる。
程よい風があるので、青空に猛禽でも飛んでくれないかなと見上げるが、遠くに伝書鳩の群れが見えるだけである。
それではと目の前の枯れた草むらに目をやると、動き回っている鳥の姿が見える。枯れた草や枝にとまって動かないと、見失ってしまう。
双眼鏡で目を凝らしてみると、アリスイである。保護色になっているので、動いた時が見つけるチャンスである。
手前の池を飛び回っているカワセミなどは、色がきれいなので、ざっと見るだけでどこにいるかがよくわかる。
ところが、このアリスイは周りの景色に同化してしまって、見えなくなってしまう。特に視力が落ちてきている昨今は、見つけにくい鳥の一種である。それでも一年ぶりに出遭えてのでうれしい限りである。
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