9月の声を聞くと季節では秋であるが、まだ日中の暑さは真夏のそれである。それでも朝夕は少し過ごしやすくなってきたのでうれしい。
最近はクールビズとかで、夏の間はノーネクタイでビジネスもできるようになったが、今思うとあの暑いときによくネクタイをきちんと締めてスーツを着ていたものだと、古の思い出のように考えることがある。
9月に入ると暑い日を残暑というが、空を見上げると高い空に秋の雲があるかと思うと、真っ白なもくもくとわき上がるような夏の入道雲がそれに割って入ってくる。
そんな猛暑日に少しでも涼を求めて多摩川の河原を歩く。土手を降りて背の丈もある葦原をかき分けて、ごろごろとした石のある水辺に出て、流れの間を大きな石の上を伝わりながら歩く。
バランスを崩すと川の中に落ちてしまうが、靴が濡れるぐらいで済みそうな場所である。いつもいる水鳥たちが遊んでいるところに、大好きなアオスジアゲハの姿が見える。
普段の飛び方は敏捷で飛翔が高く、樹木や花の廻りをめまぐるしく飛び回っていることが多い。姿としては、翅は黒色で前翅と後ろ翅に青緑色のパステルカラーの帯が貫いている。
この、黒と青のパステルカラーの翅できびきびと飛び回る姿が気に入っているところである。水のあるところで吸水するときは翅を閉じて止まることが多く、なかなか止まって翅を開いている姿をみせてくれない。
今日の暑さに参ったのか、河原の水たまりでの吸水時間が長い。翅を閉じているときは翅の裏側のきれいな模様が見えるのでうれしいが、大きく両側に開いたところも見たいのであるが、そのチャンスを与えてくれない。
吸水場所を変えるときに飛び回るので、飛翔時にそのチャンスを狙うことにする。照りつける太陽の陽射しに額から流れる汗をぬぐいながら、足場に気をつけての撮影行である。
富士山の雄姿は別格としても、日本アルプスは連休の青空に白い雪を被った峰々を見事に映していた。
南アルプス 赤石岳
大鹿村の夕立神のパノラマ展望台に上ると、南に赤石岳を中心とした南アルプスの山々、西の方向には宝剣岳、木曽駒ケ岳、御岳山の中央アルプスの白い山容が見える。
中央アルプス 宝剣岳、木曽駒ケ岳
「日本アルプス」という命名は、飛騨山脈を調査したイギリス人鉱山技師のウイリアム・ゴーランドがヨーロッパのアルプス山脈に因んで、そこから見える山脈を「日本アルプス」と紹介したのがこの名前の由来といわれている。
南アルプス 赤石岳
一般的には、「日本アルプスの父」と呼ばれているイギリス人宣教師のウォルター・ウエェストンが盛んに日本アルプスに登り、ヨーロッパにも日本アルプスの名を紹介したという。
中央アルプス 宝剣岳、木曽駒ケ岳、三ノ沢岳
北アルプスの玄関口上高地にはウェストン碑があり、毎年ウェストン祭が行われている。ここ大鹿村にも赤石岳が望める小渋川沿いにウェストンの碑がある。そして、上高地のウェストン祭の後にここに泊まる登山家もあるらしい。
南アルプス 烏帽子岳
南アルプス、中央アルプスを見た後は、さわやかな五月の風の中を、一路中央高速を北へ上り北アルプスの雄姿を見ることにする。
北アルプス 鹿島槍ヶ岳、五龍岳、白馬岳
甲信越自動車道の長野インターを降りて、善光寺の裏の七曲りを登って戸隠へと向かう。新緑の白樺林を抜けると一斉に視界が開け、正面に雪の北アルプスのパノラマの風景である。
戸隠山と鏡池
その手前には、峻険な威容を誇る戸隠山の連邦が連なり、春遅い北信濃の自然あふれる風景が広がる。
戸隠連峰
日本アルプスは、飛騨山脈を「北アルプス」、木曽山脈を「中央アルプス」、赤石山脈を「南アルプス」という。今日は、日本の屋根といわれているその素晴らしい威容すべてを眺めることができた。
東から上っていた太陽が日の出の時間が遅くなるにつれ、東南東へと位置を変えていく。季節の変わり目のせいか最近の空模様は不安定な日々が続く。
日に出前
早朝からの雷鳴や地域集中的なスコールを想わせるような大雨が降る。今日は朝から雨だと外出をあきらめていると、青空が出てきて太陽の光がさしてくる。
多摩川の日の出
雨上がりの多摩川を歩くと、河原の草木が増水のために横倒しになり、かなりの水量が流れたのだという形跡をみせる。川の流れも変わって真ん中に大きな流れがひとつできている。
富士山夕景
相変わらず雲の動きが速いので、陽は射しているもののまた大雨が降りそうな天気である。こんな空模様ではあるが、最近は朝焼けと夕焼けがきれいなときがある。
富士山シルエット
昔から、朝焼けがあるときは天気が悪くなり、夕焼けがきれいだと次の日は晴れるといわれていたが、昨今の気象状況を見ているとどうも様子が少し違うようである。
西南西の日の入り
最近の空模様は、過去の経験則では推し量れないのかも知れない。急速に進むグローバル化の時代、国境のない情報が瞬時に世界を駆け巡る。空模様だけでなく、政治経済も同様な動きを感じるこの頃である。
暑い暑いといっていた8月も終わり、今日からはもう9月である。各部屋にあるカレンダーの8月分を破りとり、9月の新しい日付になるとカレンダーのデザインも何となく秋らしい風景やデザインが多くなる。
西方の夜明けの満月と雲
最近の多摩川は朝焼けがきれいだという、東の空から上る太陽と雲の織りなす光の競演にシルエットとして東京スカイツリーをどう入れるかと、毎日の日の出の位置でそれぞれ苦労をしてファインダーに納めている。
仲間のブログを見ていると、天気の具合にもよるがなかなかうまく捉えている。私も負けないで挑戦しようと、今朝はいつもより早めに合流点に着くように家を出た。
多摩川の土手を歩いていると、東の空も赤く染まり始めたが西の空には満月のお月さまが光っている。白々明けの空の雲の様子は、朝から入道雲のように勢いよく上空に向かって沸き立っている。
東方日の出前の多摩川
確かに、いつもより雲の様子がおかしいので、今日の天気はあまり期待できそうもない。東の空も雲は厚くきれいな日の出にはならないだろうと思いながら、遠くに見える都庁舎の二本の高層の建物の間に東京スカイツリーが見える位置を見つける。
都庁舎と東京スカイツリー
しばらく河原の鳥たちの動きを見ながら日の出を待っていると、雲を赤く染めながら大きな太陽が上り始めた。丸くオレンジに輝く輪郭は厚い雲に邪魔されて良く見えないが、朝の静かな川面にその光を映しながら周りの風景を照らしている。
日の出と朝焼け
そんな日の出の場面が終わると、雲行きがあやしくなって黒い雲が低く垂れこめるようになってきた。時々雷の音が聞こえるようになり、遠方の都庁舎が靄で隠れるように見えてくると。ポツリポツリと水滴が落ちてくる。
不気味な暗雲
大したことはないだろうと思っていたが、雷鳴が近くで聞こえるようになると雨足も強くなり、空が暗くなってきた。自分は濡れても構わないが、カメラとレンズを濡らすまいとシャツの下に隠し駆け足で急いで車に避難した。
車のドアを閉めた途端に、それこそ”バケツをひっくり返したような雨”という表現そのものの大雨になってしまった。車のフロントガラスに打ち付ける雨で外は全く見えない。後10秒でも遅れていたら、ずぶぬれ状態だっただろうと思うと安堵の胸をなでおろした。
都庁舎と東京スカイツリーのシルエット
30分ほどで大雨は上がったが、その後もあまり気にはならない程度の小粒の雨ではあるが降り続いていたので、7時半ごろには引き上げることにした。この大雨も晴天続きの昨今の植物には恵みの雨といったところだろう。早朝の太陽と月、雷雨の競演でした。
今年度最後の週が始まり、週明けの会議が終わり帰路に着く。いつも新宿の電車に乗るときにかみさんにメールを送る。
上から 金星 月 木星
混雑した電車でも、文庫本を読んでいると30分ぐらいで家の最寄りの駅に着く。駅に着く前にトンネルをくぐるが、その時にポケットに入れた携帯電話のサイレントバイブが響く。
2012年3月26日 19時51分
何事かとメールを見るとかみさんからのメールで、「きょうの空には月と金星と木星が一直線にきれいに並んでいるから見てみれば」というメールである。
上弦の月
電車を降りて家へ向かう道すがら、西の空を見上げると明るい星が並んでいるところに上弦の三日月が割り込んで上下に一直線に並んでいる。
夜空を眺めながら家に入ると、かみさんが「すごい天体ショーでしょう」と興奮気味。部屋に入ると夕餉の香りと冷えたビールが並んでいるが、取り急ぎ着替えてからカメラを持って再び外に出る。
石段を登り開けた高台に出ると、三日月を挟んで二つのの明るい星がたてに並んでいる。宵の明星といって冬は金星がきれいに見えるが、、上弦の月の上に金星、その下に木星と周りの星もかすんでしまうくらいに明るく輝いている。
まさに、”一期一会”である。こんな素晴らしい天体ショーが見られるとは夢にも思っていなかった。好奇心の旺盛なかみさんのおかげである。週の初めからいいことがあり、今年度も良い年で締めくくれそうである。感謝、感謝 「謝謝」。
夏場の富士山は早朝に雲がなくきれいに見えていても、大抵10時ごろには雲が出て来て頂上付近は隠れてしまうが、今日の富士山は雲一つなく頭に白い帽子を被りその雄姿を見せてくれている。
せっかくだからその雄姿を間近で見ようと車のハンドルを握る。道志温泉がある道志道をひた走ると、時折山々の間にその白い嶺だけを覗かせる。雲が出ないうちにと急ぐので車を止めて眺めるでもなく、道路の端に雪が残る林道を走る。
山中湖畔に出ると水際には富士山の写真を撮る人たちが数人、どこかの写真教室の現場実習のようである。話を聞いていると、今日の4時44分頃には夕日が富士山の頂上に沈むダイヤモンド富士が見えるらしい。
興味深いことを聞いたので、その時間まで待って瞬間をカメラに収めたいなと思いながら、後ろ髪引かれる思いで帰路に着く。残念ながら、なぜかというとカミさんを6時半に迎えに行く約束をしているので今から戻らないと間に合わないのである。
山中湖と中央アルプス
富士山と山中湖を見下ろせるススキの原が広がる峠を上り、帰り道を急ぐことにしたが、あまりにもいつまでも富士山がきれいなので車を降りて、遠くに見える雪の中央アルプスから富士山、山中湖をもう一度眺めていると、青い空にハイタカらしき猛禽類がホバリングをしているではないか。
ホバリング中
しばらく双眼鏡で眺めていたが、いつまでも遊んでいるので三脚をセットして長玉で狙ってみた。天気がいいのでハイタカも機嫌よくホバリングを続けている。
ホバリングをしたらきっと獲物を見つけて狩をするだろうと期待しているけど、なかなか行動に移さない。若鳥がホバリングの練習をしているようにも見える。広く青い空にたった一羽の鳥、見るからに気持ちよさそうである。
この次は朝からこの場所に来て鳥を追いかけようと決めて、峠を越えて下ることにした。この峠道を登っていく若いカップルのハイカーが楽しそうに元気に歩いている。山登りをした若いころを思い出しながらゆっくりと追い抜いていく。
「犬も歩けば棒にあたる」を良いほうに解釈して、やはり行動しなければ変化と新しい発見は見つけられないなとつくづく感じた一日であった。「食べるのは一口づつ、歩くのは一歩づつ」一の積み重ねが重要だと改めて感じたところである。
冷え込みは厳しいが朝の7時を過ぎると太陽が昇ってくる。霜の降りた師走の公園を歩いているとこの太陽の光が暖かさをはこんでくれるが、後ろに映る長い影は冬の陽射しである。
午後9時ごろ
遠く富士山の山頂が丹沢山塊の後ろに真っ白に見える。空気が澄んで久々の快晴の朝の景色である。
午後9時50分ごろ
今日の夜は皆既月食が見られるというが、この天気だと最高のコンディションで天体ショーがみられそうである。夜が来るのが楽しみである。
12月の日没は早い。4時半を過ぎると辺りが暗くなり始め、陽がすっかり沈み辺りが真っ暗になると東の空にきれいな満月が昇ってくる。
暗くなった空には雲一つなく輝き始めた星と大きな丸い月だけである。絶好の月食日和である。日本の各地で見られるこの好条件は、2000年7月以来だというから実に11年ぶりである。
皆既月食は月が地球の影にすっぽりと入ってしまう。太陽と地球、月が一直線に並んだときに起きる。考えただけでも楽しみな現象がみられる。
食事を終えて暖房のきいたリビングで、韓流のDVDを見ながらその時を待つ。午後9時50分ごろから南東の空にある月が欠け始めた。幸い我が家はベランダからその月を見ることができるのでじっくりと観測することにした。
午後11時ごろ
夏の季節であれば、外に出て芝生にでも寝転がってみるのがいいのだろうが、この季節ではそうもいかない。30分から1時間おきにその都度サッシを開けて外に出てみている。
月食は日食のようにきれいに欠けないのは、地球の大気がレンズの役割りをするため、月は影に入っても真っ暗にはならず、明るいオレンジ色から黒っぽい色まで様々な色になるといわれている。
午後11時ごろになると食の最大になり約50分ほど月は地球の影に隠れてしまった。月はちょうど空の真上に上ってきているので、見上げるにも首が疲れるがオレンジ色に見える月を眺めているとそれも忘れて冬空に広がる天体ショーを見ている気分である。
午前0時30分ごろ
0時前になると月はやや西の方角に移動して、今度は小さな三日月がだんだんと大きくなり始め、11年ぶりに日本全国で見られた天体ショーが幕を閉じようとしている。寒い夜に何度もベランダを出入りして、時間を経つのも忘れて見入ってしまったが、寒くても宇宙へのロマンを感じる一夜であった。
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